おおいしだものがたり 第二十四話 江戸時代前期の仏像について
更新日:2016年3月25日
大石田町には、姿の美しい樹木として愛宕山のシダレザクラとキャラがあります。また、特色ある庭園として工藤家の古木庭が登録名勝として登録されています。今回は、これらの記念物について、紹介します。
1.浄栄寺(坂ノ上)の木造阿弥陀如来立像並びに関連資料
浄栄寺(坂ノ上)の木造阿弥陀如来立像
当寺に伝わる「木仏本尊御免状」や「木仏寸法書」他によれば、慶安元年(1648年)8月に本山である東本願寺から木仏本尊の安置許可がおり、東本願寺内にあった仏師屋から本像を購入し、以後本尊として祀られてきました。本像は、高さ69.7センチメートルで寄木造り。その形状や作風は西運寺(鷹巣)や浄願寺(二丁目)の阿弥陀如来像とよく似ています。これは、東本願寺が諸国の末寺に安置すべき本尊像の規格を厳格に定めていたからです。
2.浄願寺(二丁目)の木造阿弥陀如来立像
浄願寺(二丁目)の木造阿弥陀如来立像
本像は、高さ70.3センチメートルで寄木造り。やや細身ですらりとしており、面貌も若々しい作風で、若干の違いがあるものの、西蓮寺や浄栄寺の阿弥陀如来像とよく似ており、出来栄えの点では、全く遜色がない立派な仏像です。これらの像が東本願寺のお抱え仏師屋で比較的近い時期に作られたことは疑いありません。また、本像は、寛永8年(1631年)前後に制作されたことになります。
3.西光寺(四日町)の木造聖観音菩薩立像
西光寺(四日町)の木造聖観音菩薩立像
本像は、当寺観音堂の本尊で、宝暦11年(1761年)の「大石田四ケ村村明細帳」によれば、寛永19年(1642年)に最上川から出現したと伝えられています。本像の高さは54.2センチメートルで寄木造り。その特色は、天衣や裙(裳)の布らしい柔らかな材質感が写実的に巧みに表現されている点であり、鎌倉時代の仏像彫刻に倣った形跡がうかがわれます。
4.善翁寺(今宿)の木造阿弥陀如来坐像
善翁寺(今宿)の木造阿弥陀如来坐像
本像は、善翁寺本来の仏像ではなく、尾花沢市五十沢にあった庵寺の本尊像でしたが、この寺が廃寺になった際に善翁寺に引き取られたとの伝えがあります。本像の高さは60.0センチメートルで寄木造り。面幅の広い丸顔に特色があり、目の見開きが小さく、鼻筋は細く通り、唇も小ぶりでよく整っています。また、随所で古い仏像に学んだ形跡が認められ、細部まで神経の行き届いた造形がなされています。
[写真]群馬県立女子大学教授 麻木脩平氏撮影
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